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氣とは



氣とは

 

氣とは世界を構成する最も基本的な物質であり、宇宙における全ての事物は気の運動と変化によって生産されると考えられています。


『氣』は生命の根源であり『氣』が常に巡ることによって、身体の機能が正常に活動します。逆に『氣』が滞れば病になり、離散すれば死を迎える。 『氣』は生命エネルギーであり、生命を維持するための動力である。

中医学では『氣』が人体を構成する基本物質であると考えられ、『氣』の運動と変化によって生命活動を行うと解釈する。『氣』は生命そのものであり、日々消耗していきます。

心身の疲労やストレスはその消耗を早め、寿命と同じく『氣』がなくなれば死を迎えます。老化を遅らせ、延命するには消耗をなるべく抑えることが重要となります。


『氣』とは存在であり「存続しようとするエネルギー」「消滅しないようにしているエネルギー」 です。存在あれば消滅あり、生が始まれば死があり、形あるものは崩壊します。常に物質は形を無くし、生命は必ず死を迎えます。山はいつかは崩れ、水は蒸発し、人は土に帰ります。それらは崩壊し、散らばるという法則があります。その細かな物質を集め、物質として存在たらしめているもの..人が人であり続け、水が水であり続け、物質が物質であり続けるように消滅を引き止め、存続させるエネルギーが『氣』です。


』とは心の状態を表すもの

心の状態は、ストレスが加われば、それを思考、活動、言動、休息、食どで調整します。最も理想的な『氣』の状態とは、心が穏やかであること。心が穏やかであれば氣は充満してよく流れます。

氣は足りなく(不足)ても、足り過ぎ(旺盛)ても、問題が起きやすく、さらに氣は能動的で絶えず動き続けることが必要なので、滞ることもよくありません。それらを解消するには〝穏やか〟であること。

全ての活動や思考は心のバランス、即ち『氣』のバランスを保っていること言えます。


』は環境を決める

氣は活動する場所、住居を始め、場所や環境に関連します。気には陰陽があり、常にバランスとっており、陽の気は暖かく、おおらかで、リラックスができ、ポジティブ。陰の気は冷やかで、凝縮し、緊張があり、ネガティブです。物事を進めるには良い結果を求めて挑み、楽観的になるためには陽の氣、綿密な計画と様々な対応、冷静な判断には陰の氣が必要となります。

陽の氣が良いわけではなく、陰の氣が悪いわけでもない。全てはバランス。そのバランスを保つ、調整するには、環境・時間帯・明暗・湿乾・静騒・季候・人・自身の状態を知らなければなりません。


』の能力

氣とは、人が生きていくために必要な活動を支えるエネルギーのことです。人がもつ根本的なエネルギーである『氣』は、絶えず体を一定のペースで巡り、体を温めて血液、津液(水)をスムーズに流し、内臓の正常な活動を維持させています。

『氣』が持っている能力の初歩段階は自己治癒力にあります。その自己治癒力 によって健康な心と身体になることにより、周囲の環境が整い、経済や運の流れが良くなります。氣の流れがよくなれば、自己治癒力が高まり、氣血の流れを整えることができ、悩みを解決し、人生の幸福と成功、そして、人々を幸福や成功へと導くことができることでしょう。


』の陰と陽

中国思想では大宇宙を「太極」といい、太極には氣が満ちている。 大宇宙の気は「陰」と「陽」に二分し変化を繰り返している。小宇宙である人の気も陰陽に二分される。 中医学では人体を形成している氣・血・水の関係は密接に関係し合い、影響し合っていると考えられています。

【陽】…物質性が低く、運動性が高いもの→『氣』

【陰】…物質性が高く、運動性が低いもの→「血」・「水」

長期間にわたり自然現象を観察して、この世の中に存在するすべてのものは「陰」と「陽」が対立しながらも、お互いに影響しあうふたつの陰陽の要素から成り立っているとの考えられています。 

陰陽の関係は、対立する一対の組み合わせで起こるものであり、男性は「陽」 女性は「陰」、太陽は「陽」月は「陰」、昼は「陽」夜は「陰」というように無限に組み合わされていきます。氣の理論もまた同様にこれを基礎としており、呼吸については、吐くは陽、吸うは陰、吐くは排出、吸うは補充。“吐きながら氣を出し陽は始まる。吸いながら氣を入れ陰は閉じる也。”これらの理論は生命活動において重要な意義を持っている。

一年には四季があり、春は暖かく、夏は暑く、秋は涼しく、冬は寒く、これは不動の季候変化である。“春夏は陽を養い、秋冬は陰を養う。”これは日常生活において応じて従う原則となる。氣には個人が持っている本質というものがあります。その本質と異なる活動は氣の消耗へとつながり、合致してれば気は補充されていきます。



中医学的気の理論


七情傷氣

喜・怒・憂・思・悲・恐・驚の七情とは、人体が外の環境に反応した精神活動である。もしも感情がはげしく波立ち、長いこと持続したり、刺激がくりかえされるなら、生体の生理機能に影響して発病しやすくなる。このことを「七情が氣をそこなう」という。

異なった感情の変化は、内臓に対してさまざまな影響を与える。怒れば肝を損ない、過度な喜びは心を損ない、恐れは腎を損なう。感情の変化は内臓にまで損害を与えるが、まず最初に、氣のメカニズムとしての昇降を狂わせるのである。


怒れば氣は上昇し、喜べば氣は緩む。悲しめば氣は消耗し、恐れれば氣は下降する。驚けば氣は乱れ、思考すれば氣は結ばれて、これが続けば血氣が調和しなくなり、陰陽は調和を失い、臓腑の機能は乱れて、様々な異なった病変を引き起こすのである。反対に臓腑の病変は、各種感情の異変として現れる。


例えば、肝の陽氣が盛んであると、イライラと怒りやすくなる。血氣が不足すれば常にビクついて臆病となる。痰火〔痰と火邪とが合わさったもの〕が心を乱せば、喜びで笑が止まらなくなり、心氣が衰えれば情緒不安定となる。そのため『霊枢』「本神」においては「肝氣が虚になれば恐れ、実すれば怒る」「心氣が虚になれば悲しみ、実すれば笑いが止まらなくなる」と述べている。五臓の安定を得て感情ははじめて正常さを取り戻すのである。


【原文】

百病生於気也。怒則気上、喜則気緩。悲則気消、恐則気下。寒則気収、炅則気泄。驚則気乱、労則気耗、思則気結。九気不同、何病之生。岐伯曰、怒則気逆、甚則嘔血及飧泄、故気上矣。喜則気和志達、栄衛通利、故気緩矣。悲則心系急、肺布葉拳。而上焦不通、栄衛不散。熱気在中、故気消矣。恐則精却、却則上焦閉。閉則気還。還則下焦腸、故気不行矣。寒則腠理閉、気不行、故気収矣。炅則腠理開、栄衛通。汗大泄。驚則心無所倚、神無所帰。慮無所定。故気乱矣。労則喘息汗出。外内皆越、故気耗矣。思則心有所存、神有所帰。正気留而不行、故気結矣。(『素問』「拳痛論」)


【訳文】

「百病は氣から生じる、怒れば氣は上昇し、喜べば氣は弛緩する。悲しめば氣は消失し、恐れれば氣は下降する。寒くなれば氣は収斂し、熱くなれば氣は漏れる。驚けば氣は乱れ、疲労すれば氣は消耗し、思考すると氣は凝り固まる。九つの氣は異なっているが、どのような病が生じるのか」。岐伯が答えた「怒れば氣は逆上し、ひどい場合には血を吐き、下痢をするので、氣が上昇してしまう。喜べば氣は調和し、意志も伸びやかとなって、営衛の氣が通じるため、氣が緩むのである。悲しめば心臓の大血管が引きつり、肺は押し広げられて肺葉が上がる。すると上焦の氣は通じなくなり、営衛の氣は分散しなくなる。熱氣が内に留まるために氣は消失する。恐れれば精氣は衰退し、衰退すれば上焦は閉じる。閉じれば氣が下へと帰る。下に帰れば、下焦が腫れしまうので、氣が巡らなくなる。

寒くなれば毛穴が閉じ、氣が巡らなくなるので収斂する。熱くなれば毛穴が開き、営衛の氣は通じる。たくさん汗が出るため、氣が漏れ出るのである。驚けば心はよるべくなく、精神も帰るところを失ってしまう。思慮も落ち着きを失う。そこで氣は乱れるのである。疲労すれば喘息がおこり、汗が出てゆく。内からは〔喘息が〕、外へは〔汗が〕通常以上に抜け出るために、氣が消散することになるのである。思考すれば心を安定し、精神は帰るところができる。正氣は留まって移動しなくなるので氣が結ばれるのである。


氣の働き

氣とは、血と水を合成し、生命活動を維持するもの。代表的には5つの作用があると言われる。

  • 推動作用:血や水を巡らせ、臓器を働かせる。

  • 推動作用:血や水を巡らせ、臓器を働かせる。

  • 防御作用:外から邪気が入ることを防ぐ。

  • 固摂作用:汗や尿などの排出の調整も行う。

  • 気化作用:気・血・水・精それぞれの要素を変化させ


氣の種類

人の体内の氣は1種類ではなく主に4つの種類があります。

  • 宗氣(そうき)…推動作用

  • 営氣(えいき)…栄養作用

  • 衛氣(えき)…防御作用

  • 元氣…成長促進、活力を旺盛にする作用


生命体の「」の医学

流水腐らず、戸枢蝕まざるは、動けばなり。形(身体)と氣もまた然り。形動かざれば即ち精流れず。精流れざれば即ち氣鬱す。

即ちあらゆるものは『氣』から生じ、自然の氣と人の氣は一体性と相関性を持つ。人の氣は、生老病死に関与する生命体の「氣」の医学である。


氣の病

氣が異常を招くことで、氣が行っている各作用(防御、温煦、固摂、推動、氣化)に変調をきたします。防御は邪氣から身体を保護する働き。

温煦(おんく)は体を温める。固摂(こせつ)は漏れないようにする。推動(すいどう)は推して動かせる。氣化は分解の働き。氣の病は氣逆(きぎゃく)、氣陥、氣虚、氣滞(きたい)といったものに分類されます。

氣虚によって氣が足りなくなると、推動に支障が出て、全身に氣が巡りにくくなります。氣陥は津液(水)などが上昇する力を失った状態のことを意味し、延いては内臓も落ちてきて腹部膨満感などを招くと考えられています。

氣逆は上に押し上げられた氣が下に降りてこない状況を指し、胃や肺などに支障が出てきます。

氣滞は氣が巡らず滞った状況を指し、腹痛などを招くといわれています。この氣滞は外部に出るガスやゲップなどによって緩和するといわれており、脹痛(ちょうつう)と呼ばれる胃の張りから痛みを生じる症状などを示します。


九つの異なる氣は病を生じる

  • 怒れば「氣」は逆上し、過ぎれば血を吐き、下痢をするので「氣」はさらに上昇する。

  • 喜べば「氣」は調和し、意志ものびやかとなり「氣」は緩む。

  • 悲しめば大血管が引き攣り、肺は押し広げられ、肺葉が上がる。すると「氣」は通じなくなり「氣」は分散しなくなり、熱が内に留まり「氣」は消失する。

  • 恐れは精氣は衰退し、衰退すれば閉じる。閉じれば「氣」は下へと還り、腫れを生じ「氣」が巡らなくなる。

  • 寒くなれば毛穴は閉じ「氣」は巡らず縮こまる。

  • 熱くなれば毛穴は開き「氣」は通じる。

  • 驚けば心は拠り所なく、精神も失う。思慮も落ち着きを失う。そして「氣」は乱れる。

  • 疲労すれば喘息がおこり、汗が出てゆく。 多く汗が出ると「氣」は漏れ出る。

  • 思慮すれば心を安定し、精神は帰る所ができる。正氣は留まって移動しなくなるので「氣」は結ばれる。


功とは

気功は予防保健であり、自己調整に良い整体方法です。人体を一つの整体すべき体内組織と見なし、人の生命活動を人体内の矛盾した自己運動、自己調節、自己コントロールの発展過程と見なします。

同時に、人の生命活動と自然界の宇宙万物、時間、大地、季節・季候の変化と社会生活などと密接な関係があると認めています。人々が長い間、病と老化と闘った豊富な経験をもとに、気功学と全ての方法と原則が作られました。

そして伝統中医学の理論体系の中で発展し、人類の繁栄に多大な貢献をもたらしました。

気功は、古代人が長い年月をかけて生活労働をした中で、病や老化と闘い実践する過程で、徐々に健身する方法と理論として作り出されました。気功の現代化は広い科学分野で気功学基本理論を検証しました。

気功を行う時の生理、生物化学変化、物質など多学科の測定試験や観察と分析研究を進め、伝統中医学基礎理論と結合しました。気功を行うことにより、確実に多くの有益な生理現象や生物化学的な客観的変化が観察されました。


気功の起源について

その発生と発展は、人々が生きていきた間に大自然と病との長い闘いの中で、実践と総括ができていきました。

雨が多く、湿気が多く冷える。人間の気が滞り、血が澱み、筋骨が縮こまる。気功は人の健康に悪影響を及ぼす大自然の環境と、人々の病との闘いの中から生まれたものです。気功は科学の一つであり、理論、実践、実験の全てであり、古代から現代に至る歴史の中で、徐々に経験と教訓から作られ、まとめられてきました。人は大自然の営みの中で改造され、自身も質量とも生存する中で絶え間なく改善されてきました。


人類はどのように健康長寿の可能性を手に入れるのでしょうか。

古代民族は独特の見解と理論を述べています。

古人は天地人合一の思想を述べ、人体生命の情報と宇宙運行の規律を一緒に調和して養生保険をすすめ、人体の生命の運動のリズムと法則をコントロールしようと主張しました。気功は学術の一つとして心身を修練し、生命と心身の治療、健身、長寿の方法となりました。心身を自己調整し、心身を健全化する修練方法として使われれるようになりました。気功は意念と姿勢と呼吸を一緒に合わせ、身体のエネルギーを蓄え、エネルギーが消耗した時はエネルギーを集めて増やし、陰陽を調整し、経絡を通し、気血の流れを調和し、心身ともに健康になり、延命することが目的です。


気功の科学研究

近年来、多くの学者と医療関係者が最新の技術、性能、制度を測定する手段として採用し、中医学気功学にある現象及びメカニズムの科学研究を進めました。30億年前に地球に現れ、生物が誕生しました。生物は絶え間なく生まれ新陳代謝を繰り返し、繁殖後もさらに活動を続け、長い年月をかけ、原子動物が厳しい生物変動、適応、「用新廃退」など基本的なリズムに従って、たくさんの品種と多分類を生み出し、各種生命功能が移り変わりました。

気功は生物分子及び、細胞の効能に関して、血液及びその免疫功能に対応し、血液循環系統の効能に対応し、呼吸系統の効能に対応し、消化器系統の効能に対応し、人体エネルギーの効能に対応し、新陳代謝と体温の効能に対応し、感覚器官の効能に体操し、神経系統の効能に対応し、何分泌の生殖系統の効能に対応します。中国及び世界中で多くの学者が全てを実験し、実験内容と体験を述べました。


世界の気功研究

近年来、気功はただの成長ブームにとどまらず、国際的に重要視されてきました。中国の気功、インドのヨガ、欧米のリラックス訓練や超覚静座法、日本の座禅など、これらの功法は人体自身の病への抵抗力を高め、病を取り除き、 延命する作用があります。

そしてそれらは、学びやすく、薬治療の不良反応(副作用)がありません。 世界各国の学者が興味を持ち諸国の大学(米国マサチューセッツ州理工大学、ニューヨーク州立大学、英国ロンドン大学)では気功研究所を設立し、気功について多くの学科の角度から大掛かりな研究がすすめられています。

国際学術界では、気功を心理学のカテゴリーに帰属させ、国際アジア心理学研 究会は100年以上前に設立し、現在、本部はイギリス・ロンドンにあります。 アメリカのアジア心理学会は1969年にアメリカ科学協会に正式に受け入れられ、現在、アメリカ国内には7カ所に研究センターがあり、その内容も中国 の鍼灸・氣功・武術・ヨガ、及び現代の生物学、催眠術などを包括しています。

アメリカは既に気功を宇宙パイロットの必修科目に採用し、多年に渡ってインド・ヨガの研究を進め、あらゆるスポーツやダンス等のパフォーマンスの業界に拡大応用されています。

スイスでは1960年代に国際気功センターを設立し、生理、生物化学研究を重点に研究、カナダでは国際気功スクールが設立、インドでは一般に気功を普及するために、国際気功訓練センタで世界各国の気功の人材を育成するイベントを開催しました。

各国での気功の臨床研究では、人体、生化の影響について、練功後の生理功能 と生化物質が発生し、健康に有益な変化が多く生じたことが証明されました。 気功療法を応用した臨床の中では、高血圧、心臓病など見受ける病に良い効果 が得られました。日々、世界各所で気功学の研究と臨床が進み、深く広く発展することでしょう。

気功は中国五千年の歴史的療法であり、身体を調整し、精神で意念し、病を減らし、健康の増強に功能が多いことを科学的に証明してきました。

 1997年11月、アメリカ第1回気功学術研究会がワシントンで開催され、当時のアメリカ大統領であるクリントン氏は、祝辞の中で「健康の増進と病を減らすために、私たちが様々な医薬と療法を学ばなければならない。私達人類社会の健康状況の各種医学の道を改善し、皆様と互いに共有出来る新しい医学が成功のチャンスと友情を強めるために貢献している。世界の更なる健康増進と皆様の献身的精神に私は敬意を表する。」と述べられました。

この高い評価は、出席者に深い励ましと喜びを与えました。アメリカ衛生部部長も発言し、「全国に各医療センターを開き、医学気功の学習の進展を図る」ことを決定しました。サンフランシスコ市長ウイリー・フロー氏は11月20-26日をサンフランシスコの気功週間にすることを決めました。気功は唯一、5千年の歴史的療法であること、身体を調節できること、精神で意念し、病を減らし、健康の増強に効能が多いことを科学的に証明したことに鑑み、この気功週間中にこの事実を認定しました。


気功と陰陽

陰陽学説は、中国古代の一種哲学思想であり、中医基礎理論の重要組成部分です。気功理論もまた同様にこれを基礎とします。


呼吸について言えば、吐くは陽、吸うは陰、吐くは排出、吸うは補充。『吐きながら気を出す、陽は始まる。吸いながら気を入れる。陰は閉じるなり』《東医宝艦》。これらの理論は気功と指導に対して、重要な意義を持っています。


例えば、陽では、身体が熱くのぼせる時は、吐くときに注意する方が良い。それで余った気を外に出します。陽の虚気は落下します。自分で外に気を出すことができないので、強く吸わなければ、これが原因で陽が不足します。


その上、一年に四季があり、春は暖かく、夏は暑く、秋は涼しく、冬は寒い。これは不動の気候変化です。気功の時はその違いに精通しなければなりません。『春夏は陽を養い、秋冬は陰を養う』《素問・四気調神論》。これは気功の時に応じて従う原則です


気功と経絡

気功は中医経絡学を基礎として発展してきました。気功は発展を続け、それには経絡の存在が大いに貢献しています。各一筋の経脈の流れの方向、連結と相互関係が一段と理解されてきました。


気功の中で『周天運転法』『昇降開閉法』は経絡の気を正常に運行する重要な気功法です。その中で小周天を行うと、経絡の気を任督二脈によく通すことができます。大周天を行えば、経絡の気を十二経脈に得通すことができます。昇降開閉法は経絡の気を使い、十二経脈と経絡の中の昇、降、開、閉、任督脈を通すことが必要になります。


経絡学は人体経絡系統の生理功能研究であり、病理変化および臓腑との相互関係の学説です。この学説は、人体の臓腑、器官、組織などと経絡との関連について明らかに表現し、エネルギーを注入すれば、経絡を使って一個の統一整体原理となります。


これは伝統中医学の基礎理論の重要な構成部分であり、これらと陰陽、臓腑、気血などの理論は中医学の生理、病理診断と治療など各分野の共通のものとして貫かれています。特に、鍼灸、鍼麻酔および推拿、按摩などにも重要な意味があり、鍼灸学的理論の核心でもあります。


《霊枢・経脈編》曰く、 『経脈者は、生死を決めることができ、百病を治療し、虚実を整え、あらゆる治療が可能が可能である。』

このように、経絡学説の重要性を説明しています。経絡と臓腑の間に密接な連携があります。各臓腑に各経脈が連接し、手の太陰肺経に肺が連接、手の陽明大腸経が連接・・・全ての臓腑に経脈が連接します。臓と腑の間、臓腑と他の組織間の連携は、全て経絡を通って実現することができます。経絡は全体の人体生理の中に存在し、病の過程では重要な位置にあります。


経絡とはどのような組織なのか?血管や神経が密集していたり、微電流が流れていたりと、様々な研究結果が出ているが、その実質的研究に対して中国や世界で多くの研究がされてきましたが、認識としては依然として不一致で、まだ時間がかかると言えます。


気功と経絡


経絡学の臨床上の応用

⑴病理分野

○疾病の伝変

疾病の伝変は、主要な道である経絡の通りが伝変したことです。外が邪気が体内に侵入し、まだ病ではないが異変が生まれる。経絡の通りが外から内側に及び、浅くから深く伝変する。

例えば、風寒は肌表から入り、発熱がみられれる。悪い風寒が、頭や身体が痛むなどの症状になります。肺の外や皮膚から外邪の気が経絡を巡ると、肺に影響が出ます。続きて咳、胸が重い、胸痛などの症状になります。

内臓の間で互いに影響しあい発病します。経絡は重要な道です。例えば、『肝経は胃を挟む』。肝気は全て気はふさがり、憂鬱になりやすい。逆に胃に入り、そして肝胃不和の症状になります。脇腹に刺すような痛みがあり、怒りっぽく、胃が痛み、嘔吐、酸過多の症状になります。


◯病変の反応

臓腑に病があると、気血の変化があり経絡のある部分に反応が出てきます。

例えば、胃経では上歯に邪気が入るので、胃が焼けると上歯茎の中が痛みます。肝経は両脇に広がり、肝病の脇腹痛が見られます。


⑵診断分野

経絡の流れが特定部分にあれば、臓腑も特定の経絡につながります。臓腑の経絡に病があれば特定部分に反映され、これによって病の根幹が各経絡に表れ、これらの臓腑で病の根拠が診断できます。

例えば、頭痛の一例では、経脈が頭部の循行分布のリズムを確認して見分けることができます。前頭部が痛い者の多くは陽明経に関係があり、頭の両側が痛い者の多くは少陰経に関係があり、後頭部が痛い者の多くは太陽経に関係があり、頭上部が痛い者は足厥陰経に関係があります。

近年来、臨床実践中に発見されたことは、経絡の流れでいくつかの点上に明らかな圧痛、或いは触診で腫れや筋の反応を探して、一般的な診断を助けることができました。


⑶治療分野

経絡学は臨床と各科の治療に広く使われています。特に鍼灸、按摩、中医葯に対しては重要な指導と意味を持っています。

鍼灸と按摩治療では、主な根拠はその一つの経絡と臓腑上の経穴(ツボ)を選び取り、鍼灸を通し、或いは按摩をします。経絡により気血の功能を調整することができ、それにより治療目的を達成します。頭痛治療のように、痛い場所以外の経穴を選んだり、幹部より遠い経穴を選び、経絡の流れをより良くします。それによって治療効果を高めます。

陽明経の頭痛のように手陽明大腸経の合谷穴と足陽明胃経の内庭穴を取り合わせたりします。

薬治療の場合は、薬の帰経を考えることが必要で、それにより治療作用を強めることできます。

頭痛治療には高い効果が出てくるので、常に伍引経葯を調合します。太陽に属する頭痛には羌活を使うことができます。陽明経に属する頭痛には、柴胡を使うことができます。


経絡の生理功能

前述したように、経絡は人体組織の重要な組成部分です。それは、「内は臓腑に連なり、外は手足に繋がり、内外と交流し、気血を交流する」作用を持ちます。その生理功能は以下のいくつかの分野に総括することができます。

⑴気血の運行、栄養を運ぶ

「経脈者は、それゆえ気血を流し、陰陽を補給し、筋骨を潤し、関節を利するもの也」《霊枢・本蔵編》。

経絡は全身に広く行き渡り、気血、津液(水)などを主に運行し、道を運ぶと説明しています。気血・津液(水)などの滋養物質は、経絡を通って全身に回り、故に栄養が行きわたって身体を温める働きがあります。

臓腑の組織を使い、五官九窮、肢体百骨、筋肉皮膚全てに充分な栄養を行き渡らせます。


⑵全身との繋がり、陰陽の協調

○経絡を使い、人体臓腑の間、内臓と体表の間、五官及び上下左右の間の構成を通して完全に整った連携を起こし、ひとつの統一体となります。

○経絡は体内組織の各部分を協調、統一できるだけでなく、併せて体内外組織と環境の間(人体と自然界の間)に、協調とバランスを保つ作用も起こすことができる。「十二経脈はこの五臓六腑と天道が交流する也」《霊枢・経別編》。


⑶外邪を拒み、身体を守る

経絡は栄気を運び、肌表や手足をしっかりとさせ、外部からの邪気の働きに抵抗し、身体を守る気を運行します。

人体の抗防衛機能の主なものは、衛気の功能です。衛気は中焦水谷の気と、肺が吸入する大気を結合します。この種の衛気は肌表に達し、経絡を通し、経気を促進します。そして抗邪防衛作用を発揮することができます。

奇経八脈の生理功能の重なるものは、十二経脈の気血が満ちている時は流れに沿って奇経へ注ぎ、蓄えて準備します。十二経脈の気血が不足している時は、気血に則り十二経脈へ流れ、人体の需要に備えあふれ出ます。


気功三要素

気功には調身、調息、調心の三要素があります。

  • 調身は姿勢、全身リラックスに注意します。

  • 調息は呼吸と行気に注意します。

  • 調心は入静と意念を静かに考えます。

気功の時はこの3つを密接に合わせた相互協調します。気功は数千年の伝統を経て経験を積み重ね、人体の自己調整、コントロール系統を調節することができるようになりました。身体の改善、人体の潜在能力を開発し、気血の正常運行を保証し、病を防ぎ、病気を治すことができます。

気功を行うときは、必ず三大要素ー調身、調息、調心を理解し、実感しなければなりません。気功のときは、自然呼吸を基礎にして大脳入静をし、静虚が基本で、動作によって調身が、呼吸によって誘導が、意念によって調和ができます。

全身のリラックス、身体を柔らかく緩めて、意念で互いに外静内動、内静外動、生命両方を修練し、だんだんと高く深い境地に入ります。

気功では、調身、調息、調心の三大要素を掌握することができます。気功は人体を大自然の中に引き入れ、宇宙、太陽系、地球の中に入ります。これによって調身と運動は、体操と同じではありません。

これらは身体をリラックスさせ、穏やかにさせます。体内気血が流れやすくなり、周天運気にも有益で、大自然の気や場所との同調にも有益です。それゆえに、身体は柔らかくこわばらず、こわばっても難くない。調身の要求は自然なリラックスの状況のもとで、気功の動作が進んで柔和になり、調和進行の根拠になります。

調息は古代では吐納と呼ばれ、気功を行うときは、自然に平穏に呼吸することが必要となります。呼吸がゆっくり細く長く変わり、最後は胎息状態になります(胎息:呼吸法の極致であり、鼻や口を使わず、子供が胎内にいるときと同じように呼吸すること)。

中医学では気行血行について、気が停滞すれば血も澱むと説明します。それゆえ、人体の気が生命運動、五臓六腑の運行を動かすことができ、精気旺盛を促します。そして、肺呼吸の他に、皮膚呼吸、経絡と臓腑呼吸などこれらは気功の内修作用です。調息は、気功の時の雑念を排除することができます。気功の時は最初に我を忘れ、周囲の雑事を忘れます。全身のリラックスとともに、大自然に身を委ねます。これにより、良い精・気・神を調整することができます。身体の邪気を徐々に排出させ、この気功運用は身体を強くし、健康にするための効果があり、病気予防と治療、長寿、健康増進の目的に達することができます。気功を行うことによって、さらに健康になることができます。


気功調身(姿勢)

気功は最初に良い姿勢が必要になります。正確な姿勢はスムーズな呼吸と精神の誘導、リラックスすることが先決条件です。

「形が正しからずれれば、気も従わず、気が従わざれば意安からず、意安からざれば、気も散乱する」と調身の重要性を説明しています。

<平座式>

椅子に姿勢正しく座る。身体と足は、椅子の高さを調整して膝を90度に曲げるのが適当。

両足は地につけ、両膝は左右に肩幅と同様に広げ、両手は自然に膝、或いは大腿部の上に置き、下顎を少し引いて、胸は張り、背は正しく、口と目は少し閉じ、舌先を上顎につけ、顔は微笑む。


<自由盤式>

座敷に姿勢良く座り、両足を交差して“八字型”になる。

自然盤座になり、両手は両膝に置くか、手印状に結び、小腹前に置く。

上半身、頭部m及び上肢の姿勢は平座式と同じ。


<単盤式>

姿勢は自由盤式と同じ。左(或いは右)の脹脛を右(或いは左)の脹脛の上に置く。


<仰臥式>

両膝を少し曲げ、両足着地、両手は足両側にあり、或いは小腹の上に重ねる(掌心は下向き)。

頭部は平座式と同じ。


<側臥式>

首はやや前に曲げ、頭は枕をして上半身はまっすぐに、上の足は曲げて、下の足は自然にまっすぐに伸ばす。

上の手は臀部(掌は下向き)において、下側の手は枕の上(掌上向き)に約6cm頭から離し、そのほかは他の方法と同じ。一般的には右側に臥せる。


<站式>

両足を平行に立ち、肩幅と同じぐらいに広げ、頭、首をまっすぐにし、下顎を少し引き、胸を張り、背を正しく、両膝を緩める。

両目はまっすぐに見て、或いはかすかに閉じる。両肘は胸前でボールを抱えるように、両手五指は自然に開き、指は少し曲げてボールを抱えるような形をし、指先は向かい合い、手の中心も内側に向かい、口は自然に閉じ合わせ、舌先は上顎につけ、顔は微笑む。

站式は膝関節を曲げる程度によって、高、中、低の三種類に分けても良い。

手、肘の姿勢は、自然式站立、下按式站立、三円式站椿などに分けても良い。