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中医学とは



中医学は『自然』と『感性』の医学です。


「陽が昇れば活動し、陽が沈めば休息する。暖かければ綻び、寒ければ塞ぐ。乾けば軽くなり、湿れば重くなる。人類が最も課題とする長寿、老化、病。」

その課題を改善すべく自然の中の『人類のありのまま』を解いたものです。

中医学は〝独自〟の生理観や病理観をもち〝独自〟の診断や利用方法を持つ、ひとつの体系化された伝統的な医学です。その特徴は、病になる前の状態をいち早く察知することを最も優れた医療技術と考え、「病の兆し」を上、「病の初期」を中、「病を発見・治療」を下といい、これらは上・中・下のレベルの医療と考えられています。なぜなら病は、病になってしまうとその回復には大変な時間と労力を要し、回復しないこともあると考えられます。病になることを察知できなかったことを最も問題視するものに対し、現代医学はめざましい進歩を遂げ、様々な治療法、より詳細な検査法が日々発展しています。科学的、物質的な研究によるもの、多くの臨床、多くのデータをもとにその病の原因を追求しています。



中医学と現代医学に足りないもの


中医学に足りないことは、伝統で伝えられてきたまま解釈することです。人類の発展によって、多くの変化がありました。家屋の気密性や季候(温度や湿度)に対する適応力、天変地異に対する耐久性、生活に不可欠な水場の利便性など(トイレは家屋内でも臭わなくなり、火を使うことも安全かつ便利になった)、人々の服装やファッション、食の変化、情報の量や交通の利便性など、2500~3000年前に発祥したとも言われている中医学ですが、人類の様々な発展により目覚ましく変化しました。中医学を現代で実践的に活用するには、発展した現代とどう噛み合わせるかが重要であり、古書にあるままの状態では活用できる所とできない所があることです。


現代医学に足りない点は臨床・研究によって見出すあまりに、結果に対する原因を絞り込み過ぎているところにあるのではないでしょうか。私達は個々に条件が異なります。体質、習慣、性格、食、地域、文化、風土、環境、仕事などです。これらの条件が異なる以上、臨床・研究の中で最も多く出た結果のみを全ての原因と捉えることは、確率は高まりますが、全ての人の原因がこれに当てはまるとは限りません。臨床・研究の結果以外は見向きもしなくなってしまう可能性があるということです。 


現代医学という高い水準まで引き上げてきたものをより活かすには、もしかしたら物質的ではない非物質的で非科学的なものを融合することによって、完成に近づくのかもしれません。中医学では目に見える物質を【陰】、目に見えない非物質を【陽】と捉え、全ての事物はこの陰陽が共なることによって一つのものとなると考えられています。

感覚、感性、生命力、エネルギーによって「病になる前に察知する」ことを最上位と考えることが中医学です。そこに現代医学を融合させることにより、さらに高度な医学になるのではないでしょうか。



限られた「生」という時間


中医学の源となっている医学書『黄帝内経』では、2500~3000年前も、今も同じ不養生が語られています。


「人は酒をまるで水のように飲み、心身にストレスをかけ、酔ったまま房事にのぞみ、精氣や真氣を消耗させ、それを補充することなく、精神を落ち着けずに一時の快楽にまどわされ、長生の楽しみに逆らい、生活に節度がない。故に50歳を過ぎれば衰える。」

3000年の年月が経過してもなお、同じ問題なのであれば、人類の生命については物質的研究で見出せるものはあるのでしょうか。病にならないこと、寿命を延ばせないことの原因は全て人類が作り出し、行動も思考も人類自身がその寿命を短くする原因を選択していることになります。研究や臨床で得たデータによって病の予防や延命する方法は人類の精神・活動・発展とは逆行するものとなります。


「睡眠や休息を削り、余暇や季節を楽しまず、常に精神を追い込み、忙しく食す。」


限られた生という時間をどう使うのか、1秒の無駄もない貴重な時間をどれだけ大切に有意義にするかは、全て自分自身が選択し決めることです。



生命を維持するのではなく『生きる』


『生きる』とは「治療」でも「予防」でもありません。


どんなに治療しても再発し、どんなに予防しても病になります。


人の身体は物質のみならず、環境や感情、情緒、感覚によって、心、身体、活動のバランスに影響を及ぼし、その調整として全ては変化し、回復のための反応が出ます。


調整とは常に均衡を保つことではありません。常に過ごしやすい環境が良いのか?常に労力が伴わなければ良いのか?常に便利であれば良いのか?自然環境は常に変化しています。春夏秋冬、暑湿燥寒、朝昼夕夜…。感情や感覚は常に反応します。喜怒悲憂恐驚、視触味嗅聴…。様々な変化に反応し、現状では対応できない時、調整が行われます。寒ければ暖をとり、暑ければ冷やす。臭ければ塞ぎ、香れば嗅ぐ。見苦しければ閉じ、美しければ開く。全て自然な反応と調整を行っています。


自然治癒力、自己回復力、免疫とはバランスが崩れた時、または崩れそうになった時、それを調整する能力です。その調整は肉体へアプローチするもの、精神や感覚にアプローチするものがあります。何故なら、原因は精神と肉体の両方にあり、その精神・感情・感覚と物質的に肉体をつなぐ法則というものを伝統歴史文化的な観点で見る方法も参考にすべき時がきたのではないでしょうか?


数千年も前から人類は生まれ、繁栄し、進歩するごとにテーマとなる「不老不死」。現代までその「不老不死」が手に入らなければ、必ず老い、死を迎えると歴史的遺産の最も根源となるものは教えてくれています。必ず死を迎えることから逃れられないのであれば、「どう生き進むか」と「どう死を迎えるか」しかないのです。この二つのテーマにのみ焦点を絞って人生を生き抜くべきです。


伝統医学である中医学を、現代の文化や生活習慣に合わせ「古くて新しい健康観」をもって、心身ともに豊かで穏やかな日々を暮らしていきましょう。



  中医学の実践診断法 【未病治診断士®|養成講座】

一般社団法人国政伝統中医学協会 【認定講座一覧】 http://dentouchui.com/koza

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